難聴放置は、認知症一直線!

物騒なタイトルですが、何もこけおどしではなく、これは認知症研究で世界をリードしている専門家たちが唱えている警告・メッセージです。日本のデータでも、高齢者の70〜80%が難聴になっているのですが、我々はいまいち難聴に対する意識や対処がはっきりしていません。

ボク自身も60代から軽い難聴が始まり、70歳手前では中度の難聴に進み、仕事に支障が出てきたので止むなく補聴器をつけるようになった補聴器ユーザーなんです。ただ、年々進行する難聴の度合いに合わせるために、何度も補聴器も調整しなくてはいけなくなり、販売店からはもっと高機能で高額な補聴器を勧められるようになってきました。仕事をしていたときはなんとか経費として捻出していましたが、年金がメインの生活になると30万円・50万円の補聴器にはもう手が出ません。

そこで、難聴対策として補聴器以外の選択肢はないのかと音響製品などを探しつつ、うろ覚えであった難聴についても調べるようなったのです。

調べて分かったことは、難聴リスクの根本に向き合わないと取り返しのつかないことになるという事実です。コレはほっとけない、無視できないと。同世代のシニアのみなさんはもとより、高齢のご両親をお持ちの方にもぜひお伝えしなくてはと、このBlogとYouTubeの動画を作りました。

(1)不便だけれど我慢している意識では、大きな落とし穴が!

難聴の厄介なところは、耳の聞こえが悪くなったことを、単に不便だと捉えてしまうことです。

不便というのは解消が簡単だといいのですが、簡単でないと我慢をしてしまいますね。聞こえにくくなると補聴器を考えるですが、補聴器をつけるのには、結構ハードルが高い!

お医者さんに行って検査したりする手間が面倒ですし、補聴器つけてると年寄りっぽく見えてカッコ悪いという思い込みも足をひっぱています。第一、補聴器は思いっきり高額で手が出ません。それで仕方がないので安い集音器を使ってみるのですが、これがまたひどい。音声だけでなく雑音まで大きくして逆に不快になるし、使い勝手も煩わしいのですぐに投げ出さざるを得ません。みなさんもこんな経験ありますよね。

それで結局、聞こえにくいのが不便だけれどなんとか我慢してしまう。ここが問題なんです。

難聴になったから、「不便」だとだけ捉えていると、大きな落とし穴にハマるのです。

(2)3つのデータが突きつけること!

左のデータは、2019年の厚労省の発表で、介護が必要になった原因の上位3つが記されています。「要支援」では登場しなかった認知症が「要介護」になると1位と2位を占めてきます。介護状態になる人は4人に1人ということです。

真ん中のデータは、世界をリードする28人の認知症専門家が警告しているもので、認知症を予防する領域は全体の40%しか判明していませんが、対処できる12の危険因子のトップが「難聴」であるという事実を示しています。

最後に右端の棒グラフは、世界の補聴器の普及率のデータですが、1位の普及率のデンマークが53%に対して9位の日本はわずか14.4%という貧弱さを表しています。海外では補聴器の購入に対する国からの補助が、加齢による難聴にも手当されていますが、日本では先天的難聴などの障害者の方に限られています。日本は国民の三分の一が65歳以上に突入したのに、高齢者の難聴には行政は有効な手は打っていません。

(3)健康寿命は、介護になるまでの期間で、自分で対処できるチャンスです。

日本人は年々長寿記録を更新しているのですが、それは平均寿命のことです。平均寿命と健康寿命の数字を見ると、日本人の男性の平均寿命は80.98歳で健康寿命は72.14歳です。その差は7〜8年。これは、健康寿命の終焉して「要介護状態」にある年数のことです。(内閣府:高齢社会白書2020年版)

しかも、その7〜8年は認知症の状態であって自分では何もコントロールできないことを物語っています。まだなんとか健康寿命を保っていられる我々が対処することは、認知症の予防が最大のテーマであると言っていいでしょう。

認知症に対して予防可能な12の危険因子を見ると、トップの8%が「難聴」なんであり、4位に並んでいる危険因子の2つが、難聴が引き起こす可能性が極めて高い(コミュニケーションがうまくいかなくなって)「社会的孤立(4%)」であり、さらにそれらの状態が絡み合って「うつ病(4%)」に至る。3つ足せば16%です。また他のデータでは、難聴がある場合、男性では3倍以上うつになりやすく、また女性の場合約2倍うつになりやすい、という結果も報告されています。(慶応大学耳鼻咽喉科による研究)

「社会的孤立」も辛いし、「うつ病」にまで至れば健康寿命の価値などありません。しかも、「社会的孤立」も「うつ病」も自分ひとりで対処することはかなり難しい。そう考えると、難聴に立ち向かうことはまだ、はるかに可能なアクションであることが分かります。軽視や無視・放置している場合ではありませんね。

(4)難聴リスクの根本は、脳に与えるメカニズム!

それではどのように対処すべきかという、大切なポイントになります。それは、難聴が脳にどのような影響を与えて脳の機能にダメージをもたらすのか。このメカニズムをしっかり分析して、我々高齢者がどのようなアクションを実施すれば良いか。

(1)音が聞こえない。もしくは小さな音しか聞こえないので、音による脳への刺激が減少する。

(2)言葉や意味を伝える文章などが少なくなるので、脳の情報処理料が減少する。

結果、様々な信号でネットワークを築いている神経細胞が使用されないので能力が落ちてきて細胞が弱くなる。言葉を聞いて理解する「ウェルニッケ中枢」や、言葉を話す「ブローカー中枢」の機能 が縮小されて脳が萎縮していくようです。このあたりは聞きかじりですが、作用のメカニズムは理解できます。

(5)脳に音や言葉をインプットする

専門家ではない一個人が、しかし当事者である我々ができるアクションは、なんとか見えてきてのではないかと考えました。

音や言葉の入力が少ないのなら、入力そのものを増やせばいいのではないでしょうか。

重度の難聴に至れば無駄なのかもしれませんが、軽度や中度の難聴で音量を大きくすれば聞き取れるのなら、意識的に意図的に毎日の生活の中で、音や言葉を入れていくことで、難聴による脳のダメージを押さえていくことができるのではないでしょうか。

(6)結論:刺激からリラックスまで3種類の音を、毎日脳に入れる。

「イヤホン難聴」や「スマホ難聴」という、若い人たちが80dB以上の爆音を長時間聴くことで突発性難聴を引き起こし、WHOの見解でも「80dBで1週間当たり40時間以上、98dBで1週間当たり75分以上聞き続けると、難聴の危険があるとしています。この構造は、外耳にピッタリ入れたイヤホンから空気の振動を中耳の鼓膜に伝え、内耳の「蝸牛(かぎゅう)」で電気信号に変換され、それが脳に伝わると音として認識されるときに、きな振動が長時間加わると、蝸牛内に一万個以上あって、振動を電気信号に変える「有毛細胞」が少しずつ壊れて聴力が低下する流れです。耳にぴったりはまるイヤホンから出る音は外に逃げられず破壊的な振動は鼓膜を通して「有毛細胞」に向かうしかないのですが、骨伝導イヤホンは構造的に密閉の環境で振動を伝えないので、外耳にはめるイヤホンより「勇猛細胞」への悪影響は少ないと考えられています。

①楽しい音楽を聴いて散歩すること チェロ

②安らぐ音で、瞑想すること  せせらぎジプリ  自然の音と4K映像 美しき安曇野水景色

③倍速聞きでトレーニングすること。特にこれは情報を入れることで脳の働きを活性化させる効果もあって、一挙両得です。

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