高齢化社会日本の当事者になった高齢者の方や、そう遠くない時期に高齢者の仲間入りをする方にとって、老いていくことは展望もなく不安ばかりで、どう立ち向かえばいいのか大きな悩みのタネですね。
この記事でご紹介する、樋口恵子さんの「老いの福袋」を読めば、高齢化で遭遇するいろいろな問題の全体図を見渡せる事ができます。
なぜなら、樋口恵子さんご自身が、女性の平均寿命87.45歳に達した88歳の、ヨタへロ(虚弱)期に入った現役バリバリの高齢者。しかも、1983年に「高齢社会をよくする女性の会」を結成し、現在の介護保険の実現に尽力してきた人。
この紹介記事では、第二の人生には大別すれば、3つの時期があり、それぞれをどのように楽しみ、どう乗り切るのかをリアルな体験や豊かな知識から教えてもらうことができます。
この本を読み終えれば、老いの全体地図を手にできて、自分にあった対策や準備ができるようになるでしょう。
Contents
(1)ファーストペンギンの樋口さんに、老いの全体図を教えてもらえる。
まえがきの2ページから引用します。
「2025年には国民の5人に1人が方歳以上となり、国民の3割が5歳以上、どこを見てもおじいさんおばあさんだらけになります。本当に待ったなしの事実に驚きますが、高齢者世代がマジョリティになる世の中を怖れてばかりはいられません。
私たち80代は、言ってみれば全人類の先陣を切って、しかもけっこうな大人数で、「超・長寿社会」という未知の大海へとすでに一歩を踏み出しています。天敵がいるかもしれない海に獲物を求めて真っ先に飛び込むペンギンのことを、その勇気に敬意を表してファーストペンギンと呼ぶそうですが――気がついたら私たち世代は、「老いの冒険」に飛び込むファーストペンギンのような立場になったわけです。」
➳樋口さんたちひと世代前の先輩方が、果敢に問題提起をして制度を切り開いて進んでくださたお陰で、僕たち団塊の世代は確かな見通しを手にすることができるのです。
と言っても最近までボクは、(上の図で言えば)シニアの黄金期をいかに生きるかがメイン課題で、あとはピンピンコロリでおさらばできればいいと思っていました。それは現実に目を向けない、いいとこ取りだったわけです。
このブログの「シニアの本棚④」でご紹介した上野千鶴子さんの著書・「在宅ひとり死のススメ」を読んで、高齢者が死に至る時期のフレイル期間の存在を初めて明確に知ったわけです。
我が国の介護保険導入20年で、「幸い介護保険のおかげで、多くの高齢者がケアマネージャーにつながります。 介護保険の要介護認定率は高齢者全体では平均2割程度ですが、加齢と共に上昇し、80代後半では5割、90代では7割から8割に達します(国立社会保障・人口問題研究所、2012年)・「在宅ひとり死のススメより引用)
➳これは、フレイル(虚弱)期に付いて学ばないといけないと、フレイル期とは介護保険を受ける時期でもあり、冒頭で書きましように、最適任者の樋口恵子さんの著書にたどり着いた次第です。
樋口さんのこの本では、リアルなヨタへロ(樋口さんは、フレイルと呼ばずにヨタヨタヘロヘロから命名)期がしっかりと紹介されていますから、逆にその前段の「シニアの黄金期」の大切さもクローズアップしてくれます。
シニアの本棚④ 上野千鶴子著「在宅ひとり死のススメ」 慣れ親しんだ自宅で幸せな最期を迎える方法(2)樋口さんも、70代は仕事と、人持ちを推奨。
92ページから引用します。
「私は常々、『70代は楽しい老いの働き盛り』と主張しています。いまの70代は、まだまだ元気です。80代以降を明るく心やかに過ごすためにも、70代までは「無茶はしないけど、少々の無理はしよう」くらいの気持ちで、前向きにはつらつと過ごしてほしいもの。70代に仕事をすることで、その先の経済的不安もやわらぎます。
たとえ年金があって生活に困らなかったとしても、老後の生きがいのために仕事をするとか、ボランティアをするなど、自分から積極的に社会との接点を持つことが大事です。そこから人間関係が広がり、「人持ち」になれば、家族がいなくなっても極端な孤独にはなりません。」
(3)これが、ヨタへロのリアルなのか!
- 朝起きるだけでも、ひと仕事
- 歩ける距離は、ひと息で300メートル
- 和式のトイレにしゃがんだら、立ち上がれない。
- 外出の味方、給水パッドと紙おむつ
- お風呂コールの大事さ
- プチ「老人性うつ」がやってくる
- 買い物の意欲が湧かなくなる
➳いかがでしょうか。ヨロヘタぶりがリアルに分かリますね。どこがどんなふうにヨロっとしてくるのか。ヘタるのはどの部分でどんなヘタリ方なのか、それを伝えてもらうことで、後輩たちは対処する準備ができます。
ボクがライザップに入会して筋トレををしているのも、ヨタへロ期に至る時間をできるだけ延ばすことで、健康寿命を長くしたいからです。また、可能ならば、ヨタへロそのもの程度を軽くしたいと考えていますが、これから研究するテーマになりました。
(4)介護(保険制度)を知ることは、必須科目です。
「私が介護保険制度を目指したきっかけ」と題する箇所を引用します。 148ページです。
「当時はまだ公的な介護保険制度の気配もなく、親の介護は娘や嫁がするのが当然と思われていた時代です。渦中にいるときは正直、パニック状態でした。母にも不自由な思いをさせたかもしれません。母は苦情も言わず、私と娘の身を案じながら亡くなりました。そのときの経験が、その後の私のテーマとなったわけです。
私が介護を経験した1970~80年代当時、女性は介護離職をするのが当たり前でした。介護の担い手は「嫁」が最大多数。私のまわりにも、女性初の管理職に登用されたのに職場を辞めざるをえなかった人、子育て後、研究者の道に再挑戦したものの義母の介護のために留学先から呼び戻された人など、女性であるがために人生の夢をなくてはいけない人がたくさんいました。
男性も女性も等しく自分の人生を生き、なおかつ高齢者が安心して幸福に老いることができる社会にしたい。その強い思いが、私の活動の原点となったのです。」
➳ありがたいことです。樋口さんたちのお仲間が、イギリスの制度などを参考に、介護を個人から社会で介護をするという素晴らしい設計で、介護保険制度が誕生して、携わる介護職の方たちの貢献もあり、いま20年の制度に育っていると言います。
まだまだ、この制度については勉強不足ですので、この介護の項目に関しては、是非本書をお読みくださいとしか書けません。
それでも情報として、気になったところを引用しておきます。170ページです。
「介護は情報戦、まずは地域包括支援センターへ」という見出し。
「介護に必要な力は、1に情報力、2に人と人とのネットワーク力、3がコミュニケーション力。この3つの力をつけたら、まずはなんとか乗りきれるでしょう。
まず、介護保険のサービスを十分利用できるよう情報を集めましょう。(中略)
親がある程度の年齢になったら、地域包括支援センターに顔を出すことをおすすめします。さまざまな情報を得ることができますし、地域包括支援センターに状況を知らせて顔を売っておく、と、何かあったとき、物事が迅速に進みます。まさに「ころばぬ先の地域包括支段センター」です。
➳あっぱれ!ころばぬ先の知恵88 と副題にあるように、ユーモアたっぷり分かりやすく(文字も大きくて・笑) 読みやすい。樋口恵子さんのお人柄がそのまま文章に溢れ出ています。そして、行動して戦ってきていただいた、 バックボーンが随所に伺える、志が高くて、とても元気になれる書籍です。ぜひご一読をお勧めします。
まえがき
第1章 ローバは一日にしてならず
第2章 老いの暮らし、どうしたものか。
第3章 「金持ち」より「人持ち」でハッピーに
第4章 「老いの大冒険」を乗りきろう。
第5章 あなたも私も介護する人される人
第6章 力を合わせて「五つ星の高齢社会」を
あとがきにかえて
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