シニアの本棚⑩ 「ルーキー・スマート」 第二の人生は、ベテランモードが落とし穴。

(1)チーム競技から、個人競技に変わる。

➳会社員として60歳・65歳で定年を迎え、第二の人生に踏み出す時、すべての人は百戦錬磨のベテランです。勝ち負けの中身は別にして知識も経験も達成感も苦い後悔も充分に手にしています。しかし、それはチーム競技というカテゴリーで獲得したものです。

人生の大先輩・日野原重明さんの言葉ですが「戦艦の乗組員から、ボートの船長になる」のです。巨大な組織を動かす、管理する、部下を指揮する。あるいは、内燃機関の優れた技術、ロジスティックの戦略経験、部品調達のエキスパートで高い専門能力があったとしても、これからのひとり船長のノウハウにはなりません。

ベテランであることを捨てましょう。

ベテランはリスクに敏感で、できない理由を考えがち。自分の限界を知っているので、守りのモードが知らずしらずに身についています。ついこの間までの(もはや過去になった)プライドまで足を引っ張ります。

(2)自分をルーキーだと位置づけましょう。

➳「ボートの船長」なんて、(自営業やフリーランスで来た人は別にして)組織の一員であった人には、初めての経験。おまけに、「第二の人生」や「老後」や「100歳まで生きる」などといった「これからのステージ」には、正解がありません。ですからお手本がないし、手順を教えてくれるマニュアルもないのです。いままでは、親が道筋をつけ先輩が目標を示し、上司が導き企業ぐるみで育ててくれましたが、もう誰もあなたを教え育ててはくれません。

否応なしに全員が新人です。ルーキーです。ルーキーの視点で漕ぎ出すことが前に進む唯一の道だとボクは思います。

それなら、いま一度「ルーキー」について学んでみるのも価値のあることではないでしょうか。今回ボクがご紹介する、リズ・ワイズマンの「ルーキー・スマート」。ソフトウエア企業・米オラクルの企業内大学の副学長・人的資源開発責任者を17年間努めた著者の手になる本です。

(3)「誰でも永遠にルーキーであり続けられる」

➳本書の帯に書かれているように、➳本書の帯に書かれているように、

トップリーダーもこぞって実践する「柔軟な思考」「果敢な行動力」が衰えない働き方、とあるように現役世代に向けた人材育成の本なのですが、73歳のボクがいま読んでも「もう一度ルーキーから始めてみよう!」と心を新たにインスパイアされる示唆に富んだ内容です

41ページから引用

「ルーキーはたいてい、重荷を背負っておらず、失うものもない。だから新しい可能性を受容し、身軽に新しい世界を探索し、一途に行動できる。既存の成功パターンにはまり込まず、新しい現実に適した新しいやり方を見つけられる。まるでバックパッカーのように。

ヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソンは、こう述べている。『ぼくたちがこれまで興したビジネスは何百にも上るが、ほとんどはその産業のことをほぼなにも知らなかった。でも、経験がないおかげで、新しいやり方ができない理由ではなく、できる理由に目を向けてこられた。ほかの企業にはない自由も手にしてきた。ここが、過去の教訓や業界の常識に縛られている企業との違いだろうね』

一方、ベテランはいわば管理人のように行動しがちだ。多くの経験を積み重ね、輝かしい成功も手にし、成功による恩恵を味わってきたために、現状を維持しようという意識がはたらくのだ。」

(4)ベテランが動けないとは、どういうことか。

➳この本はルーキーの潜在能力に気づき獲得するための手立てを教えてくれる本ですが、いまのシニア(60代・70代)とこれからのシニア(準備期の40代・50代)にも、ベテランの罠に気付かされる記述が随所にあります。

例えば、ボクが本当にそうだな思えたところを引用しますと、(66ページ)

「骨休めのつもりでキャンプに出かけたのに、のんびりリフレッシュするどころか、逆に消耗してしまった――そんな経験がだれでもあるだろう。大自然のなかで心穏やかな週末を過ごすはずが、『必要になるといけないから』とあれもこれも持ち込む結果、荷造りと現地での荷ほどき、寝る場所の準備などに忙殺されて、大自然を満喫する時間もエネルギーも残らなくなるのだ。

帰りもまたテントをたたみ、荷物をまとめ、家まで車を運転し、荷ほどきをしなくてはならない。結局、いつもと同じように疲弊する羽目になる。

マネジャーはしばしば、これと同じような状態になる。本来なら自分を勇気づけてくれるはずの経験が、むしろ重荷になっているのだ。過去の成功が跳躍台ではなく錨になって、その場から動けなくなってしまうベテランは、成功の頂から退化の谷底へと滑り落ちていく。」

  • 勝手に限界を決める→先例や常識の壁を作る。
  • 同じ道を歩き続ける→過去の成功に因われて、慣れた道を行く。
  • 地位に固執する→肩書で仕事ができたことが忘れられない。
  • 知っている情報を補強するデータばかり探す→知っている情報や慣れたパターンから抜け出せない。
  • 「同族」の中に閉じこもる→自分と似た人を好み、引き寄せ合う。
  • 自分の知識をそのまま拡散する→新しい情報に合せて考え方を修正することがない。

(5)ルーキー・スマートには、4つのモードがある。

45・46ページから引用

  1. 「バックパッカー」モード
  2. 「狩猟採集民」モード
  3. 「ファイアウォーカー」モード
  4. 「開拓者」モード

「注意すべきことは、この4種類のモードは人をカテゴリーわけするためのものではない、ということだ。そうではなく、人の行動を描写するためのものだと思ってほしい。ひとりの人間が複数のモードや思考パターンをもつ場合もある。 (中略)

もうひとつ注意すべきなのは、ルーキー・スマートの有無は年齢や経験で決まるわけではない、ということだ。そうではなく、その人の精神の状態によって決まるのだ。人は、そのときどきの状況、考え方、前提により、いずれかのモードに入ったり、そこから脱したりする。

➳この4つのモードの具体的な事例や学びに関しては、ひと乙ひとつが章立てされているので、本書を手にとってお読みいただきたい。

  • 第2章 バックパッカーになろう! 自由な思考で動く
  • 「管理人」から「バックパッカー」へ変わるために。
  • バックパッカーの3つの特徴
  • バックパッカーになるための具体策
  • 見知らぬ地へ旅に出よう!
  • 第3章 狩猟採集民になろう! 専門知識を集める
  • 「現地旅行ガイド」から「狩猟採集民」へ変わるために
  • 狩猟採集民の3つの特徴
  • 狩猟採集民になるための具体策
  • 求めれば、与えられる!?
  • 第4章 ファイアウォーカーになろう! 慎重に、しかし素早く行動する
  • 「マラソンランナー」から「ファイアウォーカー」へ変わるために
  • ファイアウォーカーの3つの特徴~
  • ファイアウォーカーになるための具体策
  • 炎はくぐり抜けられる!?
  • 第5章 開拓者になろう! 力強く前に進む
  • 「定住者」から「開拓者」へ変わるために。
  • 開拓者の3つの特徴
  • 開拓者になるための具体策
  • 開拓した人だけが得られるものがある!

(6)ベテランを捨てるために、役立つ本

全項目に記述したように、ルーキー・スマートの4つのモードを学び、それぞれを獲得するためにこの本は書かれているが、第二の人生を前にした我々ベテランにとっては、むしろ自分の中のベテランの4つのモード(管理人・現地旅行ガイド・マラソンランナー・定住者)に向き合うことができることのほうが大きい。➳全項目に記述したように、ルーキー・スマートの4つのモードを学び、それぞれを獲得するためにこの本は書かれているが、第二の人生を前にした我々ベテランにとっては、むしろ自分の中のベテランの4つのモード(管理人・現地旅行ガイド・マラソンランナー・定住者)に向き合うことができることのほうが大きい。

それは自分の中のベテランを捨てることができるからです。

46ページから引用

「たとえば、未経験の課題を前にして、知識不足とスキル不足を思い知らされれば、ルーキー・スマートのいずれか、あるいはすべてのモードに引き寄せられるだろう。だが、目の前の課題への対応能力があり、自分の実力に自信をもてるときは、そんなつもりがなくてもベテランの快適ゾーンに陥りやすい。その落とし穴に引き寄せられるのは、人間として自然なことだ。

ただし、後者に陥ったとき、経験の恩恵は重荷に変わりかねない。まるで首に石の重しをくくりつけられたように。苦労して切り開いたおなじみの道を漫然と歩んでいては、新人たちが新しい世界を探索するのを尻目に、過去という職にはまり込んでしまうだろう。

この落とし穴の引力を払いのけるためには、意識的な思考と行動が必要だ。どんなにベテランなっても、古くて、おそらく誤った(そして、もしかすると危険な)思い込みを捨てることはできる。ある人がある時点においてどのようなモードで考えて行動するかは、環境で決まるのではない。それは、その人の選択に寄って決まるのだ。」

➳ボクは定年後13年、ひとり法人を起こし、またフリーランスとして働いてきました。ですが、これからの10年に向けて

  • もう一度、知らない強みを手にする。
  • 13年で得たものを、捨てる。手放す。

という、具合にインスパイアされる、良書です。ぜひご一読を。

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